ようこそ、三昧農園のコーナーへ

 三昧農園では、三畳食品の玄米ぽんせんの原材料であるお米を栽培するほか、ビワや安納芋を栽培しています。三畳食品で提供させて頂く食品の栽培部門です。

 当農園では原則、無農薬、無肥料栽培。

一般的に栽培方法は簡単に分けてしまえば以下のように。

1.慣行農法:農薬、除草剤、化学肥料使用

2.有機農法:農薬、除草剤、化学肥料不使用、有機肥料使用

ここまでは有機JUS法等ガイドラインがあり、一般的に認知されているかと思います。

3.自然農法:自然農、自然栽培とも呼ばれ、創始者というか普及者によって割と細かく曖昧に使い分けられております。共通するのは、無農薬、除草剤、化学・有機肥料不使用。農法によっては開墾地などの地力の無い場合にのみ、植物由来の完熟堆肥や米ぬかや油かすを使用したりします。

 

 三昧農園は1でも2でもなく、どれかと言われれば3になりますが、「当農園はなんとか農法」という具合に公言は致しません。どれもガイドラインのようなものがないため、A農園の自然農法とB農園の自然農法は違っていたりするためです。ややこしくなるのです。

 なぜ当農園が3の栽培方法を選択するかというと、

第一に自然に優しいということ。説明不要ですね。

第二に自力で育った作物は美味しい(と私は思う。こういうのはひとそれぞれ評価が異なる。)ということ。

無農薬は分かるけど、無肥料で作物が育つのか?と思われる方がいらっしゃるかと思いますが、それなりに育ちます。そこらじゅうにある雑草や森の木々は誰かに肥料をもらっているでしょうか?草木は落ち葉を落とし株元に腐葉土を作り、小動物や微生物の力を借りて自身の生存環境を整えます。なかには病気にかかったり、虫に喰われて朽ちる草木もあり、それが自然だと思います。よく有機野菜は穴が開いていてこそ美味しい、と言われたりしますが、栽培経験上、虫は必ず弱った個体から喰います。サバンナで怪我をした草食動物がライオンやハイエナに狙われるのと同じだと思います。それが自然なのかと。ちなみに虫が好き好んで喰う個体は窒素肥料のよく効いた緑の濃い栄養過多な個体です。

というわけで、1の慣行農法のように大量の均一な作物は出来ません。育つのに時間もかかるし、個体差があり、大きさもバラバラです。薬が無いので淘汰もされ、個体数も減ります。自分で養分を探し当て、虫や病気に打ち勝った作物は、格好がいびつだったりもしますが、味、そしてなにより生命力がギュっと詰まっております。

 無農薬、無肥料栽培のカナメは「土」「種」「適地適作」だと考えます。

「土」は作物にとって人間に例えるならば内臓のようなものだと思います。無施肥だと作物は口を開けていても肥料は降ってきません。小動物や微生物群が豊富で、その餌となる腐食(作物の残さ、森で言えば落ち葉や朽ちた枝)があれば、それが作物の育つ元となり、作物はそれを探して根を張る努力をします。人間でもサプリメントを流し込むだけでは健康を保つのは難しいかと思います。食べ物を咀嚼し内臓が消化吸収してこそ、つまり、「土」が健全ならば作物はそれなりに育つのです。当農園では作物が育ってくれるために健全な「土」を育てていきます。

 

輪作:同じ畑に違う性質のいくつかの種類の作物をシーズン毎に変えて栽培する。それによって土壌中に特定の病害虫が以上繁殖するのを防ぎます。毎シーズン同じ作物をそれだけ栽培し続けたら、当然それを好む病害虫は増えます。

 

緑肥栽培:緑肥っていうからには、それは肥料じゃないのか、との声も聞こえそうですが、ここまで読んで頂ければ「肥料を施しているわけではない」ということをご理解頂けるのではないでしょうか。緑肥とはレンゲや赤クローバなどのマメ科植物やエンパクなどのイネ科植物があります。マメ科植物には空中の窒素を固定する力があり、痩せた畑でも比較的育ち、育ったのち土壌に抄き込めば腐食となります。イネ科植物は地中深く根を張るので畑の水はけがよくなるほか、地上部は同じく腐食の元となります。よく使われていない田畑を雑草対策に定期的にトラクターで耕耘している様子をみかけますが、土が裸になって雨に打たれれば養分が流出するし、紫外線で微生物も減少し「土」は痩せます。管理はやっかいですが、まだ雑草があった方が地力は保たれるのです。少しでも土を裸にしないため、腐食を絶やさないために積極的に緑肥を栽培します。

 

自家採種:出来るだけ当農園で採種。慣行農法等ではF1品種という雑種強勢の原理を用いて人口交配させた種を使用することによって均一な作物を栽培します。しかし、F1品種は肥料や農薬がないと栽培が難しいものです。出来るだけ固定種の種を自家採種し続けることにより、無農薬、無肥料でも育ち易く、年毎の気象(干ばつや台風)に強く、荒々しい屋久島の自然に適した作物に、少しずつですが変化していきます。

 

適地的作:自家用に多種多様な野菜を栽培していますが、夏は40℃近くまで暑くなり、冬は霜が降りないという屋久島の気候には適さない作物も多いです。暖かいためか、昆虫たちも元気で、葉もの野菜は種蒔き時期を間違えると、あっという間に虫の餌食です。12月まで蚊がいますから。雨はよく降るので露地トマトも難しいとか。白菜はまかない、とか。私の技術不足でもありますが。その代わりサツマイモや里芋などの適している作物もあります。現在販売用には安納芋のみ栽培しておりますが、今後無農薬、無肥料栽培で販売可能な品目を増やしていきたいと考えております。

 

栽培指針を知って頂きたく長々と書いてまいりましたが、ここまでお付き合いくださりありがとうございました。栽培上、ご不明な点、ご質問などがあればお気軽に「お問い合わせ」よりご連絡ください。また、販売中の原材料、作物の栽培履歴は右に、日頃の栽培風景を「Blog」に記録しておりますので、そちらもご覧頂ければ幸いです。

 

農園主 後藤天平